犯罪被害者週間全国大会2017

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【2017年第15回全国大会の模様】

■日時:2017年11月25日(土) 12:30開場 13:00開会 17:30閉会 
■場所:浅草セントラルホテル

■終了しました


開会の言葉 ハートバンド 代表  前田 敏章(北海道交通事故被害者の会)
本日はハートバンド全国大会にお集まりいただき、大変ありがとうございます。 警察庁をはじめ、関係機関や団体、支援の皆様、多数のご臨席のもと、この日を迎えられたことに、深く感謝申し上げます。
今年も全国17の被害者団体から80人を超える仲間が集いました。17団体というのは、ここ数年では最も多い団体数です。久し振りに参加された団体もあります。新たに加入された「大分絆の会」からも参加されています。
皆さんの中には、今日のこの会場を懐かしく思い出された方も居られると思います。丁度10年前の2007年、私たちはここセントラルホテルで交流会を行い、翌日全電通ホールで大会を行いました。この第5回目の大会は、それまでの03・04年の「参加」、05・06年の「共催」を経て、初めて「主催」となったメモリアルな大会で、ハートバンドが支援を受けるだけの客体ではなく「権利主体」として歩み始めた大会であります。
それから10年です。昨年も私はこの場の挨拶で、次の主旨を述べました。~欧米に比し、20年も30年も遅れた面を持つわが国において、権利主体としての活動は、辛く厳しいですが、社会全体の意識改革には時間もかかります。苦しいですが、焦らず、基本法と基本計画を力に、仲間を信じ、社会を信じて進みましょう~、このように述べさせていただきました。
そして1年。私の住む北海道でも、社会を信じることのできる確かな変化を体現することができました。このように報告できることを大変嬉しく思う次第ですが、私たちの求めて来た被害者支援の道条例が、来年4月の制定をめざして「素案」が示され、現在パブリックコメント募集中なのです。この条例の検討会議には、今年から初めて委員に被害者団体が加えられ、この中で述べた意見の多くが「素案」に盛り込まれました。一部紹介しますと、大分県が先鞭をつけた二次被害の防止が入り、生活支援と専門職の配置が位置付けられ、被害者意見の把握ということも明記されています。  
これには、先行した奈良県や大分県、名古屋市などの先進的な取り組み、そして7月に札幌シンポを開催していただいた諸澤先生はじめ条例研究会のお力添えが大きな力となりましたが、この流れは、今後さらに全国各県、そして全道全国の市町村へ拡がるべきものと確信するものです。
私たちは、この大きなうねりを作る起点となったのが本全国大会であるということにも確信をもって良いと思います。同時に、感謝申し上げなくてはならないのは、今日も来賓としてお越しいただいておりますが、警察庁の参事官室です。前身は内閣府の施策推進室ですが、2014年には都道府県政令指定都市の担当者を集めての全国会議の場で、私たちハートバンドからの訴えの場を与えてくれました。
私は、基本法制定から13年を経た今、その本格的具現化~いわば、被害者の尊厳と権利確立がスタンダードとなる社会~への貴重な一歩が始まりかけたように思います。
もちろん、まだまだ険しい道のりです。ハートバンドの産みの親とも言うべき、長らく被害者支援ネットワークの理事長を務められた山上晧先生は、10年ほど前に次の主旨のことを述べられております。~憲法の人権擁護の規定においても、加害者の人権が被害者の上に置かれるような状況が残り、そのことが刑事司法における歪みにもつながっている。人がまだ小さな集落で信頼と協力の共同体を形成していた頃には、事件があれば、被害者・遺族には加害者に適正な処罰を求め、損害回復を求める権利が当然のこととして認められていたはずである。肥大化し行政と司法が機能分化する中で、被害者の尊厳という原点が見失われてしまった~と。被害者の尊厳が貫かれる社会は、この見失われた原点を見つめ直し、社会の再構築への道であると私は思います。
理不尽な被害事件によって、正に身も心も深く傷つけられた私たちですが、本大会討議の中で、これまでの活動の前進を糧に、生きる力を分かち合い、「いのち、希望、未来」を合い言葉に、社会正義実現のために歩み続けたいと思います。意義ある2017年の大会と成るよう、皆さんのご協力を切にお願いしまして、開会の言葉と致します。どうぞよろしくお願い致します。


【警察庁犯罪被害者等施策担当参事官室 参事官 阿波亮子様】

御紹介にあずかりました、警察庁で犯罪被害者等施策担当の参事官をしております阿波と申します。「犯罪被害者週間全国大会2017」の開催に当たり、一言御挨拶を申し上げます。  
ハートバンドは、発足して13年目を迎えられ、また、ハートバンドを構成する全国の犯罪被害者団体が集う本大会は、今回で15回目を数えると伺っております。この間、構成団体の皆様方が、それぞれの活動を尊重し合いながら、連携して取組を続けてこられたことに対して、改めて敬意を表したいと思います。
昨年4月1日に、第3次犯罪被害者等基本計画が閣議決定されましたが、第1次・第2次基本計画に引き続き、第3次基本計画においても、重点課題の一つとして、国民の理解の増進と配慮・協力の確保が掲げられているところです。本大会は、犯罪被害者週間に合わせ、犯罪被害に遭われた方々の置かれた状況などへの理解・配慮等を一層促進しようとされるものであり、大変意義深いものであると考えております。
第3次基本計画は、平成32年度末までの5年間を計画期間としており、本年度で2年目を迎えております。様々な施策の進展が図られているところではありますが、犯罪被害に遭われた方々のニーズに沿ったきめ細やかで途切れない支援については、依然として様々な課題が存するところです。引き続き、関係府省庁、地方公共団体、民間被害者支援団体等と緊密に連携しつつ、犯罪被害者等施策の適切な推進を図ってまいります。  
今日の大会を契機として、犯罪の被害に遭われた方々やその御家族・御遺族の置かれた状況などに関する理解が一層促進されるとともに、ハートバンドのネットワークがますます強固なものとなり、皆様の御活動がより発展されることを御祈念申し上げ、私の御挨拶とさせていただきます。


【公益財団法人 犯罪被害救援基金 専務理事 黒澤 正和様】


【公益社団法人 全国被害者支援ネットワーク 専務理事 秋葉 勝様】



【犯罪被害者の声 ・羽田野 弘美さん  大分、集団暴行事件被害遺族】

H25年2月7日夜8時ころ、大分市内の公園で起きた集団暴行事件で、当時19歳の長男を亡くす。
未成年の男女六人に、2時間にわたり殴る蹴るなどの暴行を受け、翌2月8日の寒い朝、自分の車の後部座席で亡くなっている息子が発見され加害者はその日のうちに身柄を拘束された。
その後、少年審判で三人が少年院へ送致され、残る三人は逆送致され刑事裁判になった。
少年院送致になった三人はすでに仮退院している。
刑事裁判になった三人のうち一人は4年以上7年以下、二人は5年以上9年以下の不定期刑が確定し現在服役中。
大分県で、集団暴行傷害致死事件は初めてのことだった。

犯罪被害者の声はこちらから(PDF)

 
【犯罪被害者の声・和田 真理さん  長野、交通犯罪被害者遺族】

平成27年3月23日午後10時頃、15歳の長男が交通犯罪により犠牲となる。
塾で勉強を終えた長男は、徒歩で自宅前の横断歩道を横断中、飲酒運転、前方不注視、速度超過、センターラインオーバーで突っ込んで来た40代男の運転する車に撥ねられた。更に加害者は、長男の救護よりも飲酒運転発覚を免れる目的で、近くのコンビニで口臭防止タブレット(ブレスケア)を購入し、半量を一息に摂取した。
しかし、事件発生から30分が経過した呼気アルコール検査では、酒気帯び運転の基準に満たないアルコールが検出される。 自己保身を優先した悪質な加害者に対し、長野地検は前方不注視による過失運転致死罪で起訴し、禁固3年4月を求刑。 平成27年9月7日長野地裁佐久支部は禁錮3年執行猶予5年の判決を下す。
軽すぎる判決を受け入れることができず、長野地検に控訴を要求したが「検討中」と面会を拒まれた為、「加害者の控訴と実刑を求める」署名活動を開始。 控訴期限までの2週間で4万筆以上の賛同者の署名を集め、長野地検佐久支部に提出したが、長野地検は「控訴理由が認められない」と控訴せず、平成27年9月24日、加害者の男に対し、実質無罪とも言える執行猶予が確定した。
その後、事件の真相を調べる中で、新事実が発覚。 現在、加害者の犯した罪に見合った刑を求め活動中。
ブログ:”ミッキーの樹

犯罪被害者の声はこちらから(PDF)


【ハート ・ リレートーク     一緒に考えよう みんなで話そう        
進行:小佐井 良太氏 (愛媛大学法文学部教授) 】


  
【ハートバンドについて  団体紹介・活動報告】



【ハートバンド全国大会2017 閉会あいさつ   
青木 聡子 (犯罪被害当事者ネットワーク 緒あしす)】 


各地でも気温が下がり寒さが増している中ですが、晴れ渡った青空の下、前年度までの晴 海グランドホテルから変わり、この浅草での2017年度のハートバンド全国大会の開催とな りました。
「被害者の声」では、大分の羽田野様、長野の和田様からお話をいただきました。その悲痛 なご体験を正に胸に迫る思いでお聴きしました。 そして、「ハート・リレートーク」では、テーマを「一番困っていること」「苦しい中で助か ったこと」「犠牲を無にしないために」として、初参加の方も含めお話をいただきました。 皆さまのお話から、法律や制度の新設や改正がなされた後も、まだまだ被害者が苦しんでい る状況がわかり、今後も、より被害者の目線に立っての法や制度の改正の必要性を感じると もに、改正された法律や制度が「如何に運用されるか」の大切さを痛感しました。
今年もご来賓の方々、ご支援くださる方々にもご臨席賜り、見守っていただけましたことを、 心より感謝申し上げます。ありがとうございました。 この場をお借りして、地元名古屋のことをご報告させていただきます。 名古屋市では、来年4月に犯罪被害者支援に特化した条例が制定されることになりました。 私も、検討委員として関わらせていただく中、本日もご一緒いただいております諸澤先生や 被害者が創る条例研究会の皆さま、多摩市の齋藤様にも情報提供をいただきました。そして、 ハートバンドにご参加の皆さまのお力添えをいただき、検討会の場でも被害者の立場からの 意見を述べることができました。ありがとうございました。 先ほど、支援者の皆さまからもお話がありましたように、如何に法律を運用するかは、運用 する「人」に掛かってきます。 名古屋市の被害者支援条例にも、「人材育成」についてしっかり盛り込んでいただくように お願いをしました。
全国どこに行っても同じ支援を受けられること、そして、誰が担当になっても心を寄せた 手厚い支援をしていただけることを、切に願います。 最後に、ハートバンドの「私の未来宣言」の中にも書かれていますように、 今日のこの集まりが、また、明日の社会を変えていく「力」となりますように。 そう祈りを込めて、閉会の挨拶とさせていただきます。本日は、ありがとうございました。

NPO法人犯罪被害当事者ネットワーク緒あしす 青木聰子